そう遠くない介護 ~現役ケアマネの自分の介護にのぞむあれこれ~

高齢化する両親、そう遠くない介護の予感。現役ケアマネとして、今まで担当していてしておけばよかった、と思うこと、今からできること、実践の様子、介護について。

経験自体は忘れても、感情は残る

感情は残る、ということ

昨日、

50回目のファーストキス

という映画を見ました。

交通事故の後遺症で、事故後の記憶が
1日しか保てない、という方をめぐっての、
ハワイを舞台とした映画です。

 これからみられるであろう方もおられると思うので
内容は伏せますが、ここで、

忘れても、感情は残る

という言葉が出てきます。
この映画の重要なキーワードです。


20年以上前に、認知症の方のグループホームの立ち上げに
かかわったときに、
研修にて、言われたことは、これでした。

認知症と診断された方は、
経験したこと、直前のことも忘れてしまう。
でも、その時の感情は、残っている。
直前に何があったかは忘れても、

楽しい気持ち
いやな気持ち
イライラした気持ち

は、何かしら残る。

だから、かかわるスタッフは、たとえ忘れてしまわれるとしても、
その方に、安心できる、信頼できるという感情を
持っていただくことが重要と。

嘘は、言わない

そのとき、グループホームの方に対して、
嘘はつかない
と決めて、接していました。

グループホームは入所です。
みなさん、「家に帰りたい」
と言われます。

その時、「明日は帰れますよ」
などは、言わないようにしました。
なぜなら、「明日は帰れる」
という部分が意識に残って、でも帰れない、となれば、
なんだかわからないけれど、不信感が残る。
騙されている、と分かる。

忘れてしまうけれど、

「ここは安心できるところ」
「この人は信頼できる人」
「なじみの場所、ひと」
と、感じる力は、従来以上にあるかもしれない。

そう思って、

「今日は晩御飯が用意してある」
「みんなであなたのことを待っていた」

と、嘘ではない言葉で、話しかけるようにしていました。
それが、今まで一生懸命生きてこられた方と、
真摯に対応していく中で必要と、思っていました。


現実と向き合うことを恐れない

そのようにして、現実を、受け入れていただく。
今は、自宅で暮らせない。
ここで、生きることを、受け入れていただく。

それも、思い出させてくれる映画でした。
少数の出演者、場所も数か所しか出ない映画でしたが、
主人公から周囲の方から、ほんとに私の好みの、
悪い人が全く出てこない
お話でした。

なんだか、ツボを押されて、ものすごく感動しました。
娘も見に行くと言っていたので、一緒に行こうかしら。
お時間ある方、ぜひ。