そう遠くない介護 ~現役ケアマネの自分の介護にのぞむあれこれ~

高齢化する両親、そう遠くない介護の予感。現役ケアマネとして、今まで担当していてしておけばよかった、と思うこと、今からできること、実践の様子、介護について。

理解されていないことは、伝わっていないのと同じ事

相手に理解してもらうことの難しさ

 

ケアマネジャーに最も求められるスキル

 

理解してもらっていなければ、
伝わっていないのと同じこと

と、ケアマネジャーは教えられます。

高齢の方、障がいのある方、認知症の方、
どなたに対しても、
わかるように話し、
相手に理解してただくこと。

いくらこちらが話したとしても、
相手が理解されていなければ、
それは伝わっていないというのと同じこと

だと、教えられます。

これは、ケアマネジャーという仕事において、
もっとも重要な部分であり、
またかつ、最も難しいところでもあります。

相手が理解されるところまで自分の中でも落とし込む

どんな相手に対しても、理解していただけるようにするには、
自分自身がその事柄、モノを、自分の中で落とし込む、
ことが必要です。中途半端な理解では、伝えることができません。

ケアマネジャーの経験年数が、重要視される肝は、

実はここではないかと思っています。
どんな相手に対しても、
お話して伝わらなければ、

「こういえば」

「こういう言い回しであれば」

「こんな例で」

など、引き出しをいっぱい作っておきます。
一つのことを、いろんな角度から見て、提供できるようになること
それが、相手の理解をも引き出すことができるのかと思います。
なかなか、長年やっても、難しいです。

 

相手にこちらの気持ちを伝え続ける

相手の方に、必要と思われるサービスを提案しても、
受け入れられないことも、たくさんあります。
そのことも、
お会いするたびに、常に伝え続けましょう、
ということも教えられます。

一回伝えたけれども、受け入れられなくても、
ケアマネジャーとしてアセスメントして、必要であれば、
常にそれは伝え続けていく。
それは、専門職として行うべきことだと。

言葉にしなければ、伝わらない。
言葉にしても、伝わらないことがある。
でも、伝え続けることはあきらめない。

として、頑張ろう。

介護の世界の仕事 40+からの正職員目指すなら

40+からの正職員になるということ

介護の世界は常に求人難

巷では、常にチラシや、看板や、
何やかやで、介護職の求人が掲載されています。

実際に、求人打ち止めにできるような、
人で潤っている事業所はなかなかないのが実情です。

数年前から始まった、介護処遇改善加算、なるもの、
介護職の人件費アップを目指して始まったものですが、
そのキャンペーンのおかげで、というか、
余計に介護の仕事は
きつくて、大変で、お給料も安い
という印象を、植え付けてしまったように思います。

職業安定所でも、介護の仕事は本当にたくさん
ずっと掲載されていることが多いです。

 

ほかの業種に比べて、圧倒的に途中参戦でも不利がない

では、中身は本当はどうかというと、
それはほかの業種と同じく、
いろんな事業所があると思います。

しかしながら、ある程度年齢が過ぎてから、
全く未経験でも、例えば40台であれば、
それから経験者となり、安定した正職員になることは、
圧倒的に可能性が高いです。

それは、一定の研修を経て、資格試験に通れば、
介護福祉士なり、

社会福祉士なり、

介護支援専門員なり、

の資格を得ることができ、
また、介護の仕事は、圧倒的に資格社会であるため、
事業所にとって、

その資格者が必須
であったり、
大幅な加算が可能
であったりして、
年齢でなく、資格で就職が有利になる状況
だからです。

資格があれば、40代はもちろん、50代でも、
正職員の道はあります。

事業所として、加算をとっていれば、毎年必ず
常勤専従者 資格保持者

の人数を、国に提出しているから、その資格保持者が
不足することは、事業所にとって
大変困る状況になります。

売り手市場であり、環境は選ぶことができる可能性が高い

 

また、これだけ売り手市場ということは、
自分に合った環境を選ぶことも可能です。

夜勤ができない

時間が限られている

なども、たくさんの中から、選べばよいのです。

 

実際に、私も途中参戦組です。
以前は企業に勤めていましたが、
出産を機会に、大学に入りなおし、資格を取り、
今の仕事を続けています。

その時はとても大変でしたが、
介護、という仕事は、学んだことが、必ず経験としていかされる
職種だと思います。

 

 

家ではみれない!と思う前に 自宅以外の介護について知っておくこと

うちではみれない!と思った時

でもすぐには決められない、入所施設

うちではもう見れません!と言われたときには、
すぐに、入所施設の紹介をしたり、
申し込みのお手伝いをしたりします。


でも、入所って、思い立ってすぐに入られることは、
あまり、まずありません。
(緊急時は別です!いえ、皆さん緊急時なのですが、
介護者が入院した、などの場合は今回は違うこととしています)

おっしゃってすぐに、勿論特養(一般的に老人ホーム)
はすぐ入れませんし、
老健老人保健施設)入所も、場合によっては
すぐ入所できるかもしれませんが、
3か月で基本退所ですので、その後のことも少し考えないといけません。

今は、サ高住(サービス付き高齢者住宅)など、
待ちなく入所できるところも増えていますので、
それを見学、申込されてもいいと思います。

空きがない、ということ以外にも、
選択肢が多い
ことが、自宅以外での介護を望んでも
すぐには決められない要因にもなっていると思います。

 

波を乗り越え、自宅介護を継続する


家以外のところを、検討する
その間に、割と「もうちょっと家で見れる」
となる場合は多いです。

そう思った原因が解消していることもあるし、
少し他を見て、「やっぱり家で見よう」
となることのほうが多いように思います。

ただ、一度こういう風に言われると、
何かのきっかけでまた同じように思われる
方も多く、おすすめしているのは、

安定されていて、まだ今は必要、と思わない時期に

積極的に施設見学されること

をお勧めしています。
緊急極まりなくなってからでは、
調べて、きちんと判断も難しいので。

また、施設は、申込していて、順番が回ってきても、
お断りして全く大丈夫です。


ただ、急に申し込んでも、すぐに入れることはまずないので、
困ったときにはここ、と事前に検討しておいて、入所申し込みも
済ませておくことで、
なぜかそれだけで安心が得られることもあります。

絶対家で、と思わずに。

 

 




もう家では介護できない!と突然思った時 なぜそう思ったのか、を考える

もう家では見れない!と思うとき 

突然、無理!の思いがやってくる

長年、ケアマネジャーをしていると、
ある日突然、ご家族様から「もう、家では見れません!」
といわれることも、あります。

突然といっても、長いかかわりの中から、
「そういわれるかもしれないなあ」
ということは想定内だったりします。

子どもさんが、仕事、育児、家事、をしながら
両親の介護をされている、といったことも、
今は大変多いです。
介護にかかわる人も、自分一人、といったことも。


そんな中、上記のように言われる。

普段、
「サービスは少なくてもよい」
「自分でできるから」
と、頑張られる方に、そういったことが多いようにも思います。

もう家では見れない!と思った、原因を明確にする

上記の場合は、なにかがきっかけでそう思われたのですが、
それは、本人に由来するものか?
それとも、介護者に由来するものか?
環境に由来するものか?

を、ゆっくり話を聞いていきます。

例えば、本人由来ですと、便失禁で大変な状況が続くことがあると、
このように言われる方は多いです。


体調崩され、そのような状況になり、
「こんなことが続くなら、もう無理!」と。
便失禁は、かなり影響が多いように思います。


一時の体調不良であれば、その時だけでおさまることもあるのですが、
その最中にはそんなことは言っていられません。
なぜか、
認知症になったら必ず弄便する」

と思っていらっしゃる方もあって、
「いよいよ始まりました」
のように言われる方もあるのですが、
そんなことはもちろんありません。

家族由来であれば、
家族、親族に介護について言われた
であるとか、
環境であれば
地域の役割などが当たり、忙しくなった
などでも言われることがあります。

なぜ大変か、を洗い出してみる

介護が無理!と思わないまでも、
普段も、介護の負担感があるのなら、
「何が一番つらいのか」
を、書き出してみることもよいと思います。

それを伝えてくだされば、ケアマネジャーは
それに合わせて提案をしていきます。
すべてではないけれど、少しでも負担があるなら
軽くなるように。

 

認知症?と思ったら できるだけ早期の専門医受診をお勧めする3つの理由

認知症の専門医 受診の重要なこと

認知症初期こそ受診を

認知症?と思った時

 

おんなじ話を何回もされる

電話があったことを全く覚えていない

鍋を焦がしてしまう

モノをよく探している

 

などなど、認知症?年のせい?
と思うことは、だんだん、増えてきます。
もし、認知症?と疑われる場合は、
一刻も早く専門医に診察してもらうこと
が、とても重要です。

 

それは、一つ目には
治る場合がある
ことと、
認知症の中でも
どの認知症なのかで介護も変わってくること
今のお薬の中でも、
初期に服薬を開始したほうが効果が高い
といわれているものがあることがあります。

 

認知症?と思われても治ることもある

 

誰が見てもいつも物事を忘れてしまって、
認知症!と思うものでも、原因はいろいろあります。

認知症と思われても、治療で治る場合は、
脳に血や水がたまってきている、といった場合。

脳が圧迫されて、
正常に働かない、といったことがあり、
それを取り除くと、まったくまた元の生活に戻れる、
といったこともあります。

こういった場合は、時間が過ぎるとますます
症状が悪化するので、早めに受診されることをお勧めします。

 

何が原因の認知症かを早く知ること

昔は、よく診断書に

老人性認知症

と記載があったものでした。


しかし、今はアルツハイマー認知症、であったり
レヴィ小体型認知症であったり、
かかりつけ医から認知症専門医に紹介されて、
病名も細かく記入されるようになってきました。

一言で認知症、と言っても、様々な認知症があり、
比較的記憶力の衰えない認知症もあります。


どの認知症かによって、症状も、かかわり方も違ってきますので、
初期にできるならば、その診断を専門医にて
診断いただくことが、その後の介護にも
大きく関係すると思います。

 

 服薬は認知症早期のほうが効果が高い、と言われている場合があること

診断されれば、お薬も開始されることとなります。
ここで、よくお出会いするのが、
認知症診断が受け入れられずに、治療、服薬を中断される
かたが、一定数いらっしゃることです。

数年たって、日常生活で本当に困られてから再度受診される。
少し、初めに受診されたときに、適切に薬を飲み、
対応がされていれば、今の状況は変わったかしら、
と思うこともあります。

認知症のお薬の中でも、早期の数年間の服用が効果が高い、
と言われているものがあること
また、早期に介護サービスにつないで、
環境から進行を防いでいくこと

は、大事かと思われます。

それは内科的な病気と同じかもしれません。

 

かかりつけ医によってかわるかも、介護度

主治医はだれか、も重要 主治医意見書というもの

介護認定に必須、の主治医


介護認定を受けようとすると、
医師の診断、評価が必ず必要です。


普段、全く受診することがないとしても、
認定を受ける時には、必ずどこかに受診して、
主治医意見書

というものを医師に作成してもらわなければなりません。
これが、介護認定における2次判定、となり、
認定調査員の調査結果が要介護1であっても、
この意見書によって介護度は変わることもままあります。


この医師は、普段からよく知ってくださっている、
かかりつけ医の先生が最も良いのですが、
介護認定においては少し検討することがあります。


具体的には認知症で日常生活に困難があるけれども
身体的には自立
といった場合です。

認知症の方の主治医 介護認定では選択も検討


内科にかかっており、またかかりつけの先生がよく
その方の認知症についても理解して
くださっていればよいのですが、
まれに、内科的に元気なのと、
受診の時にはあまり認知症については検討されないことが
あったりします。


そういった場合、家族の介護の内容が反映されず、
とても軽い介護度に認定されてしまうことも考えられます。
(今は下記の工夫でだいぶん減ってきていますが)


もし、認知症で介護がとても必要になっておられる場合には、
内科のかかりつけ医
でなく、

認知症の専門医
介護保険の意見書作成医師
を依頼されるほうが、現実に即した
介護度となることもあります。


意見書作成の医師は、介護認定のその都度、
選択できます。
選択の際には、ケアマネジャーに相談される
ことをお勧めします。

正しく介護認定が行われるために


なるべくそんな乖離したことのないように、
主治医に自宅での様子を書いて渡す様式があったり、
また認定調査が1次判定、
主治医の意見書が2次判定、
で参照され、乖離は少なくなるように工夫はされています。
ですが、サービスをフルに使われて
何とか生活が成り立っている場合、
このようなことも検討されてもよいかと思います。

 

介護度って、じゃあ何で決まるのか 認定調査できちんと状態を伝えるために

介護度とは何か

介護度の計算の仕方

介護度は、その人の介護の必要な状態を
数値化して、その数値により決定される、
というものです。

よく、

車いすでしか動けないから要介護3ですよね?」

など言われることがありますが、
車いすで移動している、だけで
介護度が決まるわけではありません。

介護度は、
その人の介護にどれだけ時間がかかるか

で計算されます。
なので、先ほどの車いすでしか移動できない、
といった場合でも、

自分で車いすを動かして移動できる
場合と、
自分では全く動かせず、他者が介助しないと移動できない
場合とでは、全く結果が違ってきます。

食事や、排せつや、精神面や、決められた項目に関して
その人にどれだけ介助の時間が必要か
によって、その合計で、介護度が決まります。

その方の、食事に何分、排せつに何分、
入浴に何分・・・
というふうに数字に換算して足していって、集計した時間で
介護度が決まります。

認定調査での安心な伝え方


認定調査では、いろんな項目に対して、


自立 自分でできる
一部介助 少し手助けがいる
全介助 一人ではできずすべて手助けがいる

という風に、答えていきます。

その介助にかかる頻度も、よく聞かれます。
排せつの失敗がある、
といった場合に、

それは毎日ですか?
朝も昼も夜もありますか?
それとも、週に1回くらい、月に数回ですか?
といったことで、その方の介護にかかる頻度を
検討します。

特記事項、というものがあって、
単純なその頻度だけでなく、内容も
細かく評価されます。
ですので、認定調査の前には、日ごろから
どんな介助を
どれくらいの頻度で
行っているかを、メモをされているとよいと思います。
書いていないと、なんとなくの記憶で答えてしまい、
もれや、言い忘れがあるかもしれません。

このように決まっていく介護度ですが、
認定調査の項目だけで決まるものではありません。


きちんと状態に即した判定がされるように
1次判定、2次判定
ということで判定がされます。

認定調査の結果は、1次判定ですが、
2次判定でそれが変わることもよくあります。

2次判定についてはまた次回に。